県立中高一貫教育、第1次導入校で知多半島から半田高校が決定
中高一貫教育制度については、1999 年に国において制度が創設されて以来、全国では既に41 都道府県の公立学校において導入され、生徒の自主性や個性を伸ばし、社会性や人間性を育成するための特色ある教育が各地で進められています。
また、2022 年度から高校で実施される学習指導要領のねらいなどにも示されているとおり、これからの教育には、生徒の探究心に応える「深い学び」を通して、一人一人の個性や能力を引き出し、最大限に伸ばしていくことが求められています。
これまでの検討状況を踏まえ、第一次導入校4校に導入することになりました。
塾生の受験の可能性がある知多半島から半田高校が確定したため、半田高校に関連する気になる情報を抜粋して記載します。
愛知県立半田高等学校 附属中学校関連情報
■第1次導入校 対象校
- 名古屋:明和高校(普通科、音楽科)
- 尾張:津島高校(国際研究科)、半田高校(普通科)
- 三河:刈谷高校(普通科)
■中学校 学級数:いずれの高校も2学級
■開校時期:2025年4月(予定)
対象となるのは、現在小学4年生からとなります。
■中高一貫教育導入のねらい
様々な人々と協働しながら、答えのない社会的な課題に対して、失敗を恐れずにチャレンジし、創造的に解決する「チェンジ・メーカー」(※)として、これからの愛知・日本・世界を切り拓き、支える人材を育成します。
※チェンジ・メーカー:経済社会が大きく変化する中、決まった答えのない社会的な課題を自分事としてとらえ、課題解決にチャレンジし続ける人。いわゆる「社会に変化を起こす人」のこと。
■教育内容(半田高校)
大学や企業と連携して、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の探究的な学びを中心に、幅広く中学校段階から探究学習に取り組みます。
中学校段階では、少人数・習熟度別指導により、基礎基本の定着を図りつつ、中学校と関連の深い高等学校の学習内容に中学校段階からしっかりと触れることで、より深い学びに取り組みます。
※探究を深めるための先取りは行いますが、大学受験対策のためだけに授業進度を早めることはしません。
■併設中学校の教員配置
中学校教員と、中学校の免許をもつ高等学校教員を配置します。
あわせて、中高交流人事を進めるとともに、中高一貫校に勤務する教員を別枠で確保するため、教員採用数を増やしていきます。
■入学生徒の選考方法
- 適正検査(学力試験)
出題は、小学校学習指導要領の範囲内とし、思考力、判断力、表現力、課題解決力等を総合的に測ります。
なお、適性検査のサンプル問題は、2023年度に公表する予定です。 - 面接(学力試験後の実施)
中高の6年間学び続ける意欲や志望動機、適性、コミュニケーション能力などを見ます。 - 調査書
小学校5・6年生の内容を、点数化はせず、入学者決定の際の参考として見ます。
※2024年度6年生、2023年度5年生です。
参考となる他県の公立附属中学校があるSSH高等学校
以下にある通り、SSHの公立高校では東海エリアで初の中高一貫教育となります。
今後の高度な育成に期待されます。
・岩手県立一関第一高等学校・附属中学校
・宮城県古川黎明中学校・高等学校
・山形県立東桜学館中学校・高等学校
・福島県立会津学鳳高等学校・中学校
・茨城県立竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校
・茨城県立日立第一高等学校・附属中学校
・東京都立富士高等学校・附属中学校
・長野県諏訪清陵高等学校・附属中学校
・長野県屋代高等学校・附属中学校
・京都府立洛北高等学校・附属中学校
・大阪府立富田林高等学校・中学校
・奈良県立青翔高等学校・中学校
・和歌山県立向陽高等学校・中学校
・佐賀県立致遠館高等学校・中学校
・熊本県立宇土中学校・高等学校
・宮崎県立宮崎西高等学校・附属中学校
・沖縄県立球陽高等学校・中学校
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)とは
高等学校等において、先進的な理数教育を実施するとともに、高大接続の在り方について大学との共同研究や、国際性を育むための取組を推進します。また創造性、独創性を高める指導方法、教材の開発等の取組を実施します。
科学技術人材育成を重点に、広域連携、海外連携、社会共創、高大接続等を行う学校教育であり、一定の基準を満たした学校が指定校として認定されています。
公立・私立あわせて2022年度は日本全国で217校が指定されています。
愛知県では以下の高校が指定されています。
・愛知県立一宮高等学校
・愛知県立岡崎高等学校
・愛知県立時習館高等学校
・愛知県立豊田西高等学校
・愛知県立半田高等学校
・愛知県立旭丘高等学校
・名古屋市立向陽高等学校
・愛知県立刈谷高等学校
・学校法人名城大学附属高等学校
・愛知県立明和高等学校
いずれの高校も偏差値65を超えるハイレベルな高校です。
附属中学校受験の考えられる対策とは
他県同様に1学年80名程の規模であり、高校の偏差値が高くハイレベルな高校との一貫教育となるため、難易度の高い受験が想定されます。
■入試問題について
同じSSHである東京都立富士高等学校・附属中学校の入試過去問題から見ると、文章記述の回答が多くあります。
国語・算数・理科の問題を文章で回答できる能力を必要とします。
■調査書について
5.6年生2年間の内申書の数値9科目、学級活動、児童会活動、クラブ活動、学校行事、その他学習活動が記載されます。
9科目すべてで高評価を得られる努力と、学級委員、生徒会、部長等への積極的参加ができることが大切です。
5年生でこのような活動と成績を目指すには、小学4年生の頃から評価を受けるように努力することが良いでしょう。
■学習の始め方
5年生の内申書から始まるのが外国語があります。英会話は4年生までにはじめる必要があります。
5科目以外の成績としては、音楽はピアノ、体育ではスポーツクラブ活動、図画工作では地域のコンクール、家庭では家での家事・裁縫手伝い等を低学年から自主的に行い育むのが良いでしょう。
4年生の内申書で〇(一重〇)が無いこと。3段階評価で平均2.5以上を目標に努力できれば良いかと思います。
■適正検査の対策
面接、調査書で少しでも優位になるのが検定取得です。
検定学習は問題を理解して解く知識・技能・思考・判断力を身につけることができます。
・算数検定
適性検査同様の記述式であり、適性検査の演習としてとても良い学習を行うことができます。
6年生春までに算数検定6級(小学6年生レベル)に合格できると、数学検定5級2次数理技能検定の学習を6年生に行うことができます。多少表記方法が小学生と中学生で異なりますが、考え方の学習としてとても優れているので数学検定5級取得を目指して6年生で学習できると良いと思います。
・理科検定
適性検査同様の記述式であり、説明文の演習として良い学習を行うことができます。
過去問題集を使った学習を行い、6級(小学6年生レベル)に合格できると良いと思います。
・英語検定
適性検査では英語はありませんが、評価されやすい検定です。
英検5級は取得していると良いと思います。
・算数・思考力検定
算数検定よりもさらに思考問題が増えた検定です。適正検査の演習としても良い学習を行うことができます。
こちらも入試までに5級レベルまで学習できると良いです。
・日本語検定
この検定は文章記述はありませんが、検定学習により、日本語の作成、読解力を上げる学習を行うことができます。
5級取得を目指して学習できると良いと思います。
5年生~6年生前半では上記の検定で5級・6級取得を目指して学習できると良いと思います。
そして6年生後半になれば他県の過去問題で学習を行い、入試本番に臨むのが良いでしょう。
中学校受験のメリット
中学校受験合格を目指す一番のメリットは「学習する」力を身につけることができることです。
もし中学受験して落ちたとしても地域の中学校にそのまま進学はできます。
しかし取得してきた検定、学習してきたことはそのまま残ります。
毎日学習することができる力は、中学で上位に入りやすくなり、高校から入学することもできるでしょう。
また生徒会や学級委員として活動した経験は、中学生活でもプラスとなるでしょう。
目先の合否ではなく、その先を親御さんだけではなく、本人も見据えて考えて受験勉強をしていただくことが、その後の人生のプラスとなり結果につながると考えています。